2015.10.18
この雑誌『JUGEND(ユーゲント)』は1896年に刊行、その後40年あまり第二次世界大戦途中まで続きます。この雑誌は当時ドイツ世紀末芸術の中心地、ミュンヘンで刊行され、イラストレーションの多い大衆的なものでした。石版印刷(リトグラフ)による斬新な表紙や都会的で新しい感覚のイラストで、人気を得て行きます。ここから『ユーゲント・シュティール(Jugendstil)青春様式』という言葉が生まれたと言われます。やがてミュンヘンやベルリンを中心にした若い芸術家による芸術運動の傾向全体を『ユーゲント・シュティール』と呼ぶようになります。
この『ユーゲント・シュティール』はフランスでは『アール・ヌーボー(Art Nouveau)新しい芸術』と呼ばれ、表現としてはほぼ同じ意味の言葉として使われています。
写真は雑誌『ユーゲント』の表紙(1896年刊)
風見鶏の館、1階書斎にユーゲント・シュティールによるイラストが今も残っている。動植物や女性のシルエット等のモチーフには、当時の美術・工芸デザインの柔らかい曲線美による特徴が見られ、雑誌『ユーゲント』の表紙のイラストと多くの共通性を見ることができる。
風見鶏の館、1階食堂暖炉横ステンドグラス(左)2階ベランダドアのガラス模様
ユーゲント・シュティールの特徴のひとつ、柔らかい曲線美をデザインしたのが1階食堂のステンドグラスなら、一方直線平面を強調し、幾何学的な模様を使用する特徴が表れているのが、2階のガラス模様といえる。
館の主トーマスさん、設計したラランデさん、当時二人も雑誌『ユーゲント』の愛読者だったのでしょうか?